とある引越サービスの提供会社が社員から訴えられた案件で、基本給が月に6万円というニュース記事を読みました。
時間外の割増賃金を抑制するために基本給が低く抑えられているということでした。
どのような仕組みなのか、はっきりと理解しているわけではないのですが、割増賃金は基本給に基づいてという計算をする際に、全体の額を抑えるためにベースとなる基本給を抑えているということでしょう。
就活中の経験
私が就職活動をしているころ、特に初期ですが、とりあえずは勉強のためにといろいろな会社の説明会に伺いました。
そのうちの一つで今も強く覚えている言葉があります。
ある会社の説明会でのことでしたが、それは以下のようなものです。
いろいろな会社が初任給はいくらだという話をして、さらに初任給を高く見せるということをする、ただし、その初任給にはいろいろな手当てが含まれてカサ増しされていることもある。
大切なのは基本給がいくらかで、実はボーナスも基本給をベースに計算されている。
だから我々の会社では初任給がいくらという話をせずに、しっかりと基本給がいくらからというところから情報公開をします。
その上で手当ても積み重なるとこの額が初任給ですが、実は初任給も高いのですよ。
ということでした。
社会の仕組みをさっぱりわかっていなかった私は、なるほど、と思いながら聞いていました。
その会社そのものには私はさっぱり興味をひかれませんでしたし、あとから調べたところ、人材確保には苦労はするであろう企業でして、親切な姿勢を見せながらも初任給の高さも見せて、何とか新卒社員を取り込もうとしていたのではないかと勘繰っています。
長年サラリーマンをやっていますと、確かに初任給の高さというのは魅力的ではありますが、その初任給からどれくらい賃金上昇があるのか、という視点の方が、稼ぐという意味では圧倒的に大切だということが分かります。
しかし就職活動をしているころですと、10年後20年後の話よりかは1年後の話の方が想像しやすいですし、初任給というものへの意識の度合いの強さはあるでしょう。
今であればそのようなこともなんとなくわかります。
いずれにせよ、私はその会社自体には全く魅かれませんでしたが、この説明会で聞いた基本給という考え方は新しい学びで、非常に自分のためにもなった経験でした。
会社にとってはコスト
長く働いていると、なるほど基本給を上げるということは会社にとっては固定費を上げるのと同じような影響があるのだな、とか、今はトーンが少し弱まっているかもしれませんが、春闘、ベースアップ、というような話がなぜ出てくるのか、ポイントは何なのか、ということも背景と共に理解できるようになります。
ですから、労働者としては基本給を上げさせる、ということは大切なことで、もっと真剣に経営者側に求めていく必要があることなのではないかと思いますし、ある種経営者の基本給を上げることを拒む姿勢には戦う意思を持つということも必要なのではないかと思います。
経営者と議論していて、経営環境が厳しいから仕方がないですね、ということを労働者側が言ってしまっては本来いけないのだと思います。
とはいえ労働者にとっても、短期長期の視点で、どういう判断をすれば一番利益が増えそうかという計算も大事でしょうし、一概にだめだとは言い切れませんが、もしも労働者側が頑張って利益を上げているのであれば、その対価をもらうための主張は大切です。
それに対して会社側は一時金として対応するなんてのもある話でしょうけれども。
一時金でもそうやって対応してくれるだけでもマシという考え方ももしかしたらあるかもしれません。
いずれにせよ、基本給が月6万円というのはかなり衝撃でした。
むしろどれくらい残業が発生しているのか、働いている人がどれくらい無理をしてくれているのか、というのも驚愕です。
確かに私が以前に依頼した際もすごくてきぱきと作業をしていただきましたが、あれはもう夕方遅かったのにもう1件どこかの引っ越しを抱えているなどあったのでしょうか。
基本給を抑えていることについて、そもそもがそんなに儲からないからというのも背景にはあるのでしょうし、そこにコストをかけすぎるとサービス価格が上がってしまって競争に負けてしまう、というのは会社側の論理としてはあるのかもしれません。
サービスの受領者としては安い価格でサービスをしてくれると嬉しいというのは偽らざる本音ですが、それによって社会全体が疲弊してしまっている、無理をしている人がいるというのも問題だと思います。
かといって、サービス提供側がせーので値上げすると、カルテルやっているんじゃないかと言われるというのも事実でしょう。
実際にはレベル感の強度はいろいろだとは思いますが、なんだかんだで緩くはやっていると思いますし、むしろ労働者に変な負担がかかるくらいならばやっててくれとすら思いますが、やりすぎると新規参入者が入ってきてまた価格破壊が起きてということの繰り返しなのでしょう。


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