手に職をつける、ということは生きていく上では強みになると思います。
何でも構いませんが、生計を立てていくうえで役に立つ技術を身に着けるということは、その技術そのものが時代遅れにならない限り、あるいは自身がその技術を使えなくならない限りは生計を立て続けるということが可能になるということです。
給料面を考える
その一方で、その手に職を着いた状態であれば、生活に困ることはないか、あるいはお金をたくさん稼ぐことができるかどうかというのはまた別問題です。
例えば理容師さんという職業は、人間の頭に髪が生えなくなってしまわない限りは、今後も一定以上の需要を生み出す職業です。
もちろん競争社会ではありますから、単に手に職が就いている、という状況だけでは不十分な面もあって、その中でも技術が優れている、サービスの質が良い、などの点も必要にはなるでしょうが、とは言え、ある種全国どこでも、もしかしたら世界中どこでも働くことのできる可能性を秘めていて、その需要そのものは今後何十年も続くのではないかと思います。
しかし理容師の平均年収のデータを見てみると、雇われか開業化で差はあるみたいではありますが、それでも雇われですと500万円まではいかないくらいのように思われます。
料理人というのも同じくで、食事そのものは人間がいなくならない以上は今後もずっと一定以上の需要を生み出すと思います。
技術があれば全国どこでも働くことができますし、和食というのはいま世界中で少しずつ浸透していますから海外で働けるという可能性もあります。
どの程度の技術をもって料理人としての技術があるのかというのを測るのは難しいですが、多くの飲食店が新しくできてはつぶれていく現状を見るに、料理人としての技術さえあれば生活に困ることなくお金を稼ぐことができる、ということはなかなか言えないのではないかと思います。
もちろん、有名な一流店で修業をしてそこで認められた、とか、国際的な賞を取ったとか、そういうものがあればそれでお客さんは来てくれるとは思いますが、そうであったとしても一度試してみてあまりおいしくないと思われてしまえば次はないでしょうから、そうならないためにはお客様を満足させるレベルでの技術を持っていることが必要になります。
私がお気に入りの個店居酒屋で大将と話をしていても、下積み時代からかなり長い間修行をして、それこそ毎日こっぴどく怒られ、満足にお金ももらえず、少しずつ技術を高めていったという話を聞きまして、料理は非常においしいですし、サービスもいいですし、ご家族もいらっしゃるようなので生計を立てることはできていると思いますが、それでもすごくお金を儲けているようには感じられません。
手に職をつければ安泰なのか
その方はその界隈では誰もが知っているようなレストランでも修行をされていて、そこの責任者的なこともされていたようなのですが、そんな方でもそんな状況です。
その一方で、その気になれば別のお店から雇用されることも可能だと思いますので、そういう意味では仕事がなくなってしまうことはないという強みはあると思いますし、それが手に職を着けるということだと思うのですが、では大企業のサラリーマンと比べてお金を稼いでいるかと問われれば、それは恐らく稼いでいません。
単純比較することは難しいですが、技術レベルも違いますし、責任の重さも違うと思うのですが、それらが高い、重い、料理人の人の方が経済的には稼いではいない状況になっていて、恐らくそのケースの方が大多数なのではないでしょうか。
大企業の会社員の場合でも、いざ会社の外に放り出されると、替えの仕事を見るけるのに苦労するということはあるかもしれませんが、今の現状の金銭的な評価という意味合いでは、その会社員の方が高いという状況です。
確かに手に職を着ければ、その技術が通用する限りはどこでも働けて生計を立てていけるというのはあるかもしれませんが、でれはそれでお金儲けにまでつながるかと言われれば必ずしもそうではないということになります。
どちらが本当に生活が安定しているのか、答えを出すのは難しいですし、どちらがいい、悪いということもないと思いますが、手に職を着ければ安泰である、という考えは間違いなく間違っていると思います。
極端な話、その技術が活用できなくなるような怪我をしてしまう可能性だってあるわけですから、必ずしも安定しているとも言えません。
大学に行かずに手に職を着けるという選択肢もある、という発言をある政治家がしましたが、それは選択肢としては確かにあるのですが、大きな目で見たときにどちらがいいという話ではないと思いますので、冷静に考える必要があるなと思います。


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