優秀な若手の人材獲得のために給与水準を上げる反面、どこかでバランスを取ろうとした結果、中高年の給与水準を下げることで対応する会社があることに、中高年からは反発の声があるという記事を読み増した。
特にその対象となる中高年というのが氷河期世代の人であることもあり、それまで割を食ってきた氷河期世代がさらに割を食う形になっているというような内容でした。
絶対額としての給与水準を下げるということなのか、定期昇給の額が従来より下がったのか、どういう内容のバランス対応であったのかというのは定かではありませんが、いずれにせよ割を食ったのであれば不満が出るのは当然でしょう。
会社としても、優秀な人材を取れないとその後の存続に関わってくることではありますし、その一方で無制限に人件費を支出するわけにはいきませんから、どこかの水準を上げるのであればどこかの水準を下げることもまた必要でしょうし、やむなしという判断でもあったとは思いますが、そうは言ってもそのあおりを食う人は不満に思うのは仕方がありません。
私の勤める会社
私の勤める会社でも、大きな方針としては私が入社したころよりも、若手に手厚い給与体系に変わってきているのは感じます。
それによって、中高年の給与の減額対応も確かに行なわれているように思えます。
特に非マネジメント層の中高年の給与についてです。
プレーヤーとしての能力が若手と中高年とでどれくらい変わるのかははっきりとした答えはないとは思いますが、印象としてはやはり30代から40代前半くらいがそのピークなのではないかと思います。
また、その後の成長の伸びしろということで考えた場合には、若手の方が可能性があると考えられるのは仕方のないことでしょう。
そうなった場合に、中高年でまだ非マネジメント層であるという点は、単純に考えて、会社の投資対象からは外れてしまうのだろうと思います。
管理職になるかどうか
管理職になりたくない若手も増えているという話を聞く機会がありまして、肉体的・精神的に辛いことはやりたくない、という理由も良く分かるのですが、とはいえ会社からしたら中高年にもなって非マネジメント層である人間を優遇する余裕もありません。
その理由があるとすれば、非常に豊富なノウハウや技術を持っているということで、オフィシャルなマネジメントではないが、組織の中ではマネジメント層待遇のようなものを受けられる専門職である人、というようなことになるかと思います。
会社としては利益を出さなければなりませんし、効率性を求めるのであれば、インプットとアウトプットのバランスの効率化を狙うと思いますので、そのような意味で、1プレーヤーである中高年層の待遇を下げるという判断は合理的でもあるのでしょう。
もしも、自分はそのような待遇を受けたくないと考えるのであれば、マネジメント層かその待遇を受けられるような層になる必要はどうしてもあると思いますし、そのためには成果を上げるだけではなくて、良好な人間関係を築く必要もあるでしょうし、最終的には運の要素も必要になるでしょう。
私も、若いころには、なぜ自分はこんなに働いているのにこれだけの給料しかもらえず、その一方でただ社歴が長いだけの中高年の従業員はパフォーマンスはそれほどでもないのに自分よりもらっているなんておかしい、と憤りを覚えたことがあります。
それが今や、逆の立場、憤られる側になっているのかもしれないと思ってしまうこともありますから、若手にとってみれば自分たちの給与水準が上がることは当然だと思っていることかもしれないなと思います。
安定はしている?
その一方で、仮に会社の投資対象から外れてしまったとしても、会社を辞めさえしなければある程度の稼ぎは確保されると考えることもできるのがサラリーマンの強みだと思います。
もちろん、待遇が下がると不満を感じるでしょうし、何よりも自分に期待されていないような気がしてモチベーションも下がるのではないかと思います。
今一度モチベーションを挙げて成果を出して、というようなメンタルであればいいのですが、そういう人はそもそも中高年になってもまだプレーヤーであるということは稀なのが日本の企業なのではないでしょうか。
であれば、モチベーションが下がってしまうことは良くないことではありますが、同時に会社に期待もしすぎない、という態度で残りのサラリーマン生活を続けるということも選択肢としてなくはないと思います。
私の知る限りにおいては、マネジメント層でもマネジメント層待遇ではなくても、会社の土台を支える活動をしている中高年層もたくさん知っていますし、もう少し会社はそういう人を大切にした方がいいのではないかと思うこともあります。
ド派手なことはできないかもしれませんし、著しいパフォーマンスを上げるということもできないかもしれませんが、当たり前のことを当たり前にできる、それをやり続けられるというのもまた一つの素晴らしい能力だと思うからです。
しかし、そういう人たちはなかなか報われないというのもまた現実です。
さらに、別のところの変化の割を食ってしまうということがあるのであれば、それは確かにかわいそうだなと思います。


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