私が勤める会社の同僚で、まあそこそこ順調に出世もしていた人が会社を辞めました。
そもそもがご夫婦でお子さんもいて、東京で暮らしていたのをお二人で話し合って自然の豊かな近隣県で移住のような形で暮らすようになっており、その方は引き続き東京に遠距離通勤をされていたのですが、この度単身赴任を伴う転勤になったということでそれは嫌だと退職されました。
ご夫婦で話し合われた結果として、移住を決断されたのも、仕事場が東京であるから東京で暮らす必要はないんじゃないかということがあったようなので、単身赴任を伴う異動というのは恐らく我慢もできなかったのでしょう。
そもそもの価値観の話ですね。
気になる会社の対応
この話を聞いたときに、会社としてなぜ単身赴任を伴うような辞令を出したのだろうかというのはまず気になりました。
もちろん、会社が一社員の思いを全てくみ取ってかなえていくことは不可能ですので、誰かを特別扱いするということが難しいというのは良く分かります。
人事異動も玉突きで起こる場合がありますから、その流れの中で致し方なく、単身赴任を伴う辞令になってしまったのかもしれません。
ただその一方で、遠距離通勤をしてくるその方に対して、仕事云々ではなくて、遠距離通勤という点に全ての人がいい心象を持っているわけではなかったという話を聞きますので、その当てつけとしての人事だったのではないかという気もしなくはありません。
ご本人としても、遠距離通勤は大変そうではあったというのも確かですが。
最近は働き方改革であるとか、柔軟なワークスタイルと推進だとか言われますが、そうは言っても全てをその言葉で片づけるのは難しいのでしょう。
オンライン経由で仕事をすることは確かにできますけれども、やはり場合によっては物理的に会うことでの会話の方がより便利で効果的なことはあると思っています。
現場主義というのは大切なことであると、私も良く分かりますし感じますし、全ての仕事がオンライン経由で効果的にできるとは言えないと思います。
変わる時代
それはそうとして、今回の話を聞いて思ったのは、10数年前であれば、単身赴任になるからという理由で会社を辞める人はもっと少なかったのではないかということです。
家族を養うためには仕方がない、と考える人が多かったのではないでしょうか。
この方の場合もともと、思うところがあって東京から移住をされていたという背景もあって、そもそもそこの心持ちから違っていたという事例とも言えるかもしれませんが、同じような考え方をする人が最近増えていたとしてもそれは不思議ではないとも思います。
いい悪いということではなくて、働き方に対するマインドが変わってきている、と言ってもいいのかもしれません。
特にやはりコロナ禍の影響が大きいのでしょうか。
当時も、どうせ出社しないならばと、大都市圏から離れて住む決断をする人がニュース記事になる機会を何度か見た記憶があります。
また、リモートワーク環境に強制的に入らざるを得なかったことで、家族の形について考える機会が増えたという人や、自分らしく生きるとはどういうことかを考えるきっかけになったという人も知っています。
仕事は人生の全てではなくて、一部に過ぎないということをこれまでよりも強く思う人が増えた結果として、働き方について考えて、より柔軟な働き方を志向する人が増えたとしても不思議ではありません。
家庭を持っている人でも、その家族の了解があれば従来こうあるべきだと思われていた働き方に従わないということも可能ですし、家族でいろいろと考えるきっかけの一つがコロナ禍だったのかもしれません。
とはいえ、周りにそういう人がいるとはいえ、多数派なのかと言われると、まだまだそこまで多くはないなという印象は持ちます。
なんだかんだで、最近では満員電車で通勤をして、オフィスに出社して働くスタイルが戻ってきていますし、むしろそういうスタイルの方が心地よいという思いを持っている人も多いのではないかと感じます。
嫌な上司を顔を合わせたくないから家で働きたいと思うのももっともだと思いますし、家で働いていればサボっていてもばれないからいい、というのももっともだと思います。
人間はそんなものです。
その一方で、ある程度は社会性が感じられる環境に身を置きたいと思うのもまたもっともだと思いますし、ちょっとした相談はその場でパパっとできた方が効率的ですので、オフィスに出社して働きたいと思う人がいるのも不思議ではありません。
色々な働き方の選択肢があっていいと思いますが、そもそもその背景にあるのは、色々な生き方の選択肢があっていいという空気感が世の中にできてきているからなのかなと感じます。
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