企業の不祥事



とある大手自動車会社グループで、認証に関わる不正が色々と見つかっています。

 

世界的なグループで、その経営手法はビジネススクールのケーススタディの題材になるくらい、世界でも興味を持たれていて、また尊敬もされており、そのグループ発の日本語がそのまま英語でも使用されるというくらいですし、業績も株価も右肩上がりです。

 

内情は知りませんが、これまでも、その巨大な購買力と影響力を駆使して、サプライヤーや下請けに対しては厳しい要求を課して、それによって元受けが利益を上げているというような話を聞くことはありました。

 

その業界で力を持っている会社というのは、それを競争優位として利益を上げようとするのが資本主義だと思いますので、例えそうしていたとしても不思議には思いませんし、どこの業界でも力を持っていればそのようなことは必ず起きているのがこの世の中の仕組みだと思います。

 

普段我々が生活のために買い物をするスーパーにしても、我々は安くてうれしいなと思う製品について、それは本当にスーパー側が利幅を削って我々に提供をしてくれているのかどうか、考えてみれば分かると思います。

 

まあ、利益額を上げるために、スーパー側としても少しは自己犠牲を払って利益率を下げていることはあるとは思いますが、その負担をしているのは果たして誰なのか、もちろん誰かがその負担をしたとしても、売上を取れるなどのメリットがあるからそうしているのでしょうが、パワーを持っているのは誰なのか、ということを考えれば、そのパワーをどのように行使しているのかも想像は容易だと思います。





パワーの影響は避けられない




 

でも、そういうものなのですよね。

 

パワハラやセクハラ、その他諸々のスキャンダル、多くの場合はパワーを持っている人がそれを濫用する、それを笠に着て弱い人を従わせることで起きているのであって、残念ながらそれが社会の縮図でもあります。

 

パワーがあると、よほど気を付けないと、それによって自分が偉い人間だ、上の人間だと勘違いもしやすくなるのでしょう。

 

しかし、色々と問題が発覚してくると、今までがやりすぎだったのではないか、という話も当然に出てきます。





企業体質か本質の誤解か


 



今回の大手自動車会社グループの話でも、その効率性の高さや利益を生み出す力がこれまでは褒め称えられることもありましたが、それを追求しすぎた結果として、納期を遅らせられない、認証をいつまでに取らなければならないというプレッシャーがある職場環境になり、それが結果的に不正に手を染めることにつながってしまう、というような論調が増えるかもしれないなと思います。

 

実際問題、何が原因なのかはよく分かりませんが、当然にそのような企業風土は影響することもあるでしょうし、それは特に上からのプレッシャーが強いと起こりやすくなります。

 

私も、トップダウンというのは必要だと思っていますし、何もそれは悪いことではないと思っています。

 

サラリーマンとしていても、これについてはもっと上の人が決めてくれないととか、会社の方針が見えないとか、そういう不満を言う機会、聞く機会がありまして、それはトップで意思決定をしてほしいということですし、それが求められることも確かにあります。

 

しかし、方向性を示してほしいという思いがある一方で、トップの言うことが全て正しいとは限らないわけですし、トップが関与しすぎるとおかしなことになることがあるというのも間違いありません。

 

実際に、トップは何も現場のことを分かっていないんだよな、ということを言う、耳にする機会もあるはずで、それはつまりトップが現場の内情を分かってないということですし、その状態で判断をするというのもまたリスクがあるということです。

 

現場のことは知らんがこれが大方針なんだという意味でのトップダウンも効果がないことはないですし、それがブレークスルーにつながることもありますから、難しいところです。

 

一方で、我々がトップの意思を勝手に間違って理解してしまって、あるいはその本質をとらえないまま理解してしまって、それに基づいた行動をするので結果がおかしくなるということはあり得ると思います。

 

今回の場合も、トップは不正をしてでも納期を守れ、とは思っていないはずで、そんな指示も絶対にしていないと思います。

 

ですので、不正に手を染めたのは現場の判断だと思っていますが、現場としてもそうしたかったわけでは絶対になくて、避けられるなら絶対に避けたと思います。

 

そんな中で、その不正に手を染めざるを得なかった、その判断につながったなにかは、間違いなく、誰かがトップの指示内容の本質を誤って捉えて、それを守ることに必死になったからではないかと思っています。


部下の相談に対して真摯に向き合わないという体質も問題ですし、不正しろとは指示していないと言い訳するかもしれませんが、そもそもそういう体質は本質の誤解から生まれるのではないかと考えます。

 

そういう意味では、トップの指示、上に立つ人の指示というのは非常に重要で、影響力があり、一言一句に気を付けなければならないということなのでしょう。

 

効率を上げていきましょう、それによって世界一の販売を目指しましょう、という指示があったとして、それは不正をして、消費者を危険にさらしてでも達成したい目的ではないはずだというのは普通に考えれば分かると思いますし、全ての経営層や従業員もそう思っていたと私は信じます。

 

ただ、なぜかどこかで、効率を落とせない、世界一にならないといけない、という目標だけが守らなければならない絶対のものになってしまった、それがトップの指示だと誤って理解をしてしまった、ということなのではないかと思います。

 

そして厄介なことに、そういう誤った理解のもとになっているのは、根拠のないうわさであったり、勝手な思い込みによって、トップはこういう人だ、トップはこう考えているんだ、ということが誤って強調される一方で、多くの人はそれを直接に確かめる手段がありませんから、それが正解なんだと信じてしまうということがあると思います。

 

そしてこれはどんな組織であっても、人の数が大きくなれば起こりえることなのだと思いますし、私が勤める会社でも起こっているなということは感じます。

 

風通しを良くする、という一言は便利な言葉ではありますが、トップの本来の意図を明確に伝えるという意味では馬鹿にはできない言葉なのだろうと思います。

 

 


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