退職金への増税

 

 


 

政府、与党が、同じ会社での勤続年数が長いほど退職金にかかる課税が優遇される制度について、今年の見直しを見送ったそうです。 

そもそもの見直しを図った理由が、この優遇制度によって、会社員の転職モチベーションを下げているのは問題である、ということだったのですが、サラリーマン増税だとという批判も巻き起こっていました。 

現在のご時世、サラリーマンではなくてサラリーウーマンもいるだろうと思うのですが、そういう点には世の人も別に意見しないのが不思議だなあと思っておりましたが、それは横に置いておきましょう。



転職の推奨?



転職をすることが個人や社会にとっていいのか悪いのかははっきりとはわかりません。

しかし、今の政府、与党としては、人材の流動性を高めることが、日本社会の競争力を高めることにつながると考えており、人材の流動性が高まらないことは課題であると思っているのだろうことは、この退職金関連の制度の見直しの話に限らず、感じ取れます。 

ですので、もしも日本社会の競争力が高まるのであれば、私も人材の流動性を高めることを助長すること自体は、政府や与党の施策として、当然の事であろうと思います。 

シンプルに考えると、ある一つの会社でしか働くことができない人というのは、社会における人材としての競争力は弱くなるだろうということは理解できます。 

例え、ある会社でなくてはならない専門知識を駆使している人がいたとして、その会社にとってはその人材はとても大事であって、価値がない人材とは言えないのですが、他の会社からしたらその会社にとって価値のある人材とはならない、ということです。 

一方で、色々な会社で通用する、働くことのできる人材が増えるということは、その分、競争力のある人材が増えることになるとは思います。 

理想ではありますが、行きつく先は、年齢や性別を問わずに、能力のある人はいつまでも必要とされ、望めば働き続けることができる社会というのができるのでしょう。 



理想と現実



しかしながら、実際に、退職金をもらえるだろう立場にいる人にとっては、既得権益を侵されることになるわけですので、何の対価もなしにいきなり権利を手放せと言われれば反発するのも当然です。

しかも多くの人は、自分や家族の生活の安定のために、家を買い、車を買い、教育にお金を投じ、時にローンを組みながら、退職金もあてにして、日々、頑張っているわけです。

それがいきなり、あなたは優遇されすぎですので負担を増やしますとなれば、反発するのもかなり理解できます。 

人材の流動性なんか気にせずに、今の会社であと何十年も働いて生計を立てていくぞ、と思っている人も当然多いでしょうしね。

しかも、負担が増えて、増税になったとして、その税金が有効活用されるのかどうかも分からないなんてなったら、快く賛成することなんて無理でしょうね。 

そもそも、退職金に増税されたら転職を考えるかどうかも謎です。



説明と理解が足りない



それがいいかどうかは別として、議員はどうか、公務員はどうか、という声が出るのもまあ自然だなという気はします。 

そういう意味では、人材の流動性云々の話も含めて、政府や与党が本当にやりたいことが見えてこない、というのが大きいと思います。 

もちろんそれは、我々がその点に興味をあまり持っていないことの裏返しでもあるとは思います。 

結局、何のためにそういうことをするのか、それはやらないといけないことなのか、やりたいことなのか、というのを判断できないので、自分が不利になる点はとりあえず反対したくなるのは当然です。 

また、人材の流動性のことを言うなら、政治家の世襲も問題でしょうし、議員にも最大任期を検討するべきですし、公務員の転職も奨励せよ、という話になるはずですが、そうはなっていないのです。

なんだかある一部分しか見ずに課題をこねくり回しているような気がして、気持ち悪く感じるというのはあるでしょう。

 

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