とある退職勧告のあり方




 

 

 

日本企業では比較的雇用は守られていて、欧米企業ではその反対で簡単に首を切られるということが一般的な日本人の認識だと思います。

 

私が知る限りでも、確かにその傾向はあると思いますし、恐らく欧米企業で働いている人も欧米企業の特徴についてはある程度理解をしているでしょう。

 

ただし、たとえ理解をしていても、いざ自分が首を切られるとなると心穏やかではないというのも当然なのだと思います。




首の切り方

 



また、確かにパフォーマンスが低いと判断されて首を切られる人はいるのですが、その首の切り方もストレートにあなたのパフォーマンスは低いのでいりません、というものだけではなく、あなたがこれまでやっていた仕事はなくなりました、というやや間接的な、あなたを必要としていませんという通告もあります。

 

そもそも仕事がなくなるわけですから、それをやっているあなたは必要ではないですよね、ということですね。

 

また、その仕事がなくなる対象は個人であることもあれば組織であることもありますが、たとえ組織が対象となった場合でも、本当に優秀だと思われていて必要とされる人には別のポジションでのオファーがあるというのが普通なようです。

 

逆に言えば、ただあなたのポジションはなくなりました、と言われる人は本当に必要とされていないということで、残酷と言えば残酷です。

 

ただしですが、そんな残酷な宣告であっても、それに至った経緯についてはある種の言い訳が展開されます。




嫌われたくないのは万国共通

 



つまり、この組織や仕事は無駄だと判断したのでなくします、というのがシンプルな本音であると思うのですが、当然にそういう言い方はされません。

 

これまでいかにその組織や仕事が会社に貢献をしてきたか、いかに優秀な人が働いているのか、ということを枕詞として伝えたうえで、ただしよりよい組織運営を目指して、より高い成果を出していくためには、その組織や仕事をなくした方がいいのではないかと思っている、ということが伝えられるわけです。

 

こういう論法というのは日本企業が使っているのも聞きますので、ある種世界共通なのかもしれませんね。

 

身近なところで言えば、恋愛感情の告白の断り文句、就職活動のお祈りメール、などなど、相手のことは素晴らしいと思っているのだけど、残念ながら今回はご期待に沿えませんなんてことが伝えられるのと似ているなと思います。

 

恋愛感情の告白の断り文句の場合は、あれ、今はフラれたけれどもまだ自分にチャンスはあるのかな、なんて勘違いしてしまう人もいるのではないかと思いますし、それが時にはよくない方向に事を動かしてしまうこともあるのだと思いますが、この雇用に関する断り文句の場合は、額面通り受け取る人はいないのではないでしょうか。

 

ただストレートにそう言われていないだけで、シンプルに必要とされていない、というように皆が受け取るのではないかということです。

 

しかし、答える側は悪者にはなりたくないですし、決してそうは答えてくれません。

 

なぜこの組織や仕事はなくなるのか理由を教えてください、と尋ねても、本音の答えは返ってきませんので、ある種質問すること自体があまり意味のないことなのかもしれません。

 

私も仕事をしていて、今自分がやっている仕事は本当にいるのかな、と率直に思うこともありますので、これが欧米企業ならスパッときられてしまっているかもしれません。

 

実際、日本人は雇用が守られているからいいよね、という類のことを海外籍の人に言われたこともあります。

 

若かった私は、その分、給料は抑えられているぞ、と心の中で思いながら聞いておりました。

 

日本企業では、ある組織では必要とされなくなった人も、異動という形で他に活躍できる可能性の場を与えてくれる場合もありますので、そういう意味では大変幸せなのかもしれませんね。

 

自分がやってみたいと思わなかったことでも、意外とやってみると得意であることに気付いたり、才能に気付いたり、活躍出来たり、そんな可能性が決して0ではありませんし、その異動の経験そのものが将来の役に立つなんてこともありますから。


そう考えると、ヒトを活かすという意味では、日本企業もいいとこありますよね。


 


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