昨年、大学入学共通テストの受験生ら3人を刺して、殺人未遂罪などに問われた当時17歳の元男子高校生の裁判に関するニュースを見ました。
日本最難関ともされる東大理科三類に入学できないことを悲観しての犯行であったとのことですが、医者になりたいという強い思いを持って勉学に励んでいた中で、思うように成績が伸びずに悲観してしまったというのが背景にあるようです。
ニュース記事だけから判断をするに、ご家族が医者というわけでもなく、本当に自ら志して目指していたということらしいですが、実際のところ、お金をかけない前提で、理科三類以外の国公立の医学部であっても現役で入学するのは難しいレベルの学力であったのかもしれないというようにも思いました。
ただ、理科三類に入るんだということを公言してしまっていた手前、それを取り下げることはプライドが許さないというのもあったということも聞きました。
だからと言って人を傷つけてはならないだろう、というのは当然の話であって、特に医者を目指しているのであれば、全く逆のことをやっているとしか思えませんので論外です。
目的と手段
なんだか、目的と手段を勘違いしているようにも思います。
医者になるのと、理科三類に入るのとで、どちらか目的なのか、彼にとっては医者になることの方が大事だったのではないか、と思います。
勉学に励む中で、友人たちとの関係も疎遠になるなどしてしまったことも彼にとっては良くなかったことなのでしょう。
もしも、彼の志について議論し合える友人たちがいれば、まずは医者になることが大切なんじゃないか、理科三類でなくてもいいのではないか、そして医学部を目指すためにはどんな勉強をすればいいのか、そういうことを学ぶ機会があったのではないかと思います。
ちなみに私の通った高校は進学校で、理科三類を目指している人もいまして、実際に合格している人もいるのですが、そんな人たちに対する周りの意見としては、あいつは難しい学部に行きたいだけだ、というものでした。
そういう意見を言っていた人たちも、ほぼかなり学力の高い学部に現役合格していきましたので、僻みも多少はあったかもしれませんが、ただ単純に、医者になりたいなら他の大学の医学部でもいいよね、ということを冷静に考えていたのです。
まあ、そういう人たちも、国公立の中でも旧帝大の医学部に進学していましたので、難しい学部に行きたいという思いは当然にあったのでしょうが。
それでもお互いに情報交換をしながら、どんな参考書がいいとか、どこの大学のどこの学部がいいとか、自分が進みたい方向性を、都度表明しては確認していました。
視野が狭くなる時はある
しかし、若い時期に限らず、視野が狭くなってしまうと、間違った判断をしてしまいがちなのは共通なのだろうと思います。
事件を起こした方も、その志は素晴らしと思いますし、実際に実現に向けて努力をしていたという事実は素晴らしいと思います。
もしも努力の方法をもう少し工夫すれば、理科三類ではなかったとしても、国公立の医学部に行けたかもしれません。
であれば、必要だったのは、自分の本当の目的は何かを確認する機会であり、それに気づかせてくれる周りの人であり、第三者からのサポートであり、ということだったのではないでしょうか。
もちろん、それらがあれば医者になれたのかどうかというのは分かりませんが、少なくとも、1人よがりになると、例えその思いが正しかったとしても、間違った方向に進んでしまう可能性がある、ということなのかなと思います。
私個人としては、やはり志のある人が、その職業に就いた方がいいと思いますので、この事件のニュースを聞いた際には少し残念な気持ちになりました。
君みたいな思いの人が医者になるべきなのに、何を馬鹿なことをやっているんだ、というのが正直なところです。
同時に、自分自身も気を付けないといけないなと思いますし、必要とされれば、周りに対しても助けになるような働きかけをしないといけないなと思いました。
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