解雇規制緩和と働き方




会社員の解雇規制をめぐっての政治家の発言が話題になっています。

 

正社員を解雇しにくいから非正規社員がその地位から脱却できない、という理由付けはよくわからないと言いますか、それは制度を運用する側の問題もあって、そこの理由を変えたいのであればまずは非正規雇用関連で規制強化をするのがまずは必要なのではないかという気はします。

 

確か、同一の企業に5年間働けば、正規雇用の申し出をして企業側は受け入れなければならないはずですが、なんだかんだと理由をうまくつけては回避している企業もあるのではないでしょうか。




賛否の声


 


しかしながらこの主張には賛成の声も多く挙げられています。

 

特に、働かないオジサンと揶揄されている人たち、成果はそこまでではないけれども年収は高めの人たちを解雇しやすくするのはいいのではないかという若い層からの声や、組織の士気を下げるなどの問題社員に悩む人たちからすれば、解雇規制の緩和というのは問題がある制度変更ではない、むしろいい制度であると捉えられているようです。

 

後者の場合、特に問題社員に悩んでいる中小企業の経営者などがそう思うのは確かに一理あるかもなと思います。

 

そもそも、立場の強い経営者層が、立場の弱い労働者を搾取するという大きな絵があった中で、労働者を守ろうということでいろいろな規制が出てきた中、特に日本では年功序列や終身雇用制といった仕組みが導入されたわけです。

 

それらの仕組みはある種日本の特徴であると言われることもありますが、確かにその制度がある以上は、業務上の問題社員であっても簡単には解雇できないということになりますし、それはもしかしたら組織にとってはむしろマイナスかもしれません。

 

若い世代から出ている声もその思うところは分からなくはありません。

 

解雇規制が緩和されて困るのは能力がないけれども高い給料をもらっている人たちであって、能力があれば何も怖がる必要はないだろうというような意見もあります。




何のためなのかが大切


 


ただし、この制度だけがいきなり導入されるだけでは、混乱するだろうなというのも思いますし、何なら悪用されることだってあるだろうなとも思います。

 

例えば、日本の労働市場は比較的流動性が低いと言われていますが、流動性が低いまま、解雇規制が緩和されてしまうと、そこに待っているのは多くの失業者に他なりません。

 

また、年功序列の給与体系を前提に、若いころには低く抑えられていた給料を取り返すことができないまま、退職を迫られてしまう世代もいるでしょう。

 

仮にそういった働かないオジサンが解雇されたとして、その分浮いた人件費は、会社に残っている従業員に還元されるのでしょうか?

 

つまりはその企業で働く人たちの給与アップはしっかりと成し遂げられるのでしょうか?

 

どういう働き方がいいのかというのは人それぞれであるでしょうし、従来の日本企業的な働き方が一番いいということは言えないと思いますが、ある一部分だけを変えようとすると不具合は出てくるのは間違いないと思います。

 

その意味では、一番最初の政治家の発言も、すごく一部分に限った話からスタートをしているような気がしており、それもいまいちだなとは思います。

 

日本の経済力を高めて豊かな国にするためにいろいろな施策が必要で、その一つの手段として解雇規制の緩和という話が出てくるのであればまだ納得性は高いでしょうに、正規と非正規というくくりの話を持ってきてそこについてだけ話をしているように思えるので、なんだか全体感のない話のように見えてしまいますし、なんなら分断をあおっているだけの主張のようにも見えてしまいます。

 

この政治家の年金に関する主張もまた賛否が巻き起こっていますが、そこについてもある一部分だけの主張のように見えるなと感じます。

 

今の日本の状況が良くない方向に向かっているのであればそれを変えるために改革は必要かもしれませんし、そうなると全員がハッピーになるということは難しく、中には割を食ってしまう人も出てくると思います。

 

もちろん、リーダーには全員がハッピーになるようなことを考えてほしいですが、それは難しいということもよく分かります。

 

むしろ、割を食ってしまう人はいるけれども、それでも今これをやらないといけないんだ、必要なんだということを納得させるのがリーダーでしょうし、それはなぜ必要なのか、つまりは達成したいと思っている大きな目標はいったい何なのか、それを納得させないといけないのではないかと思いますが、今はそれがないから、ある側面に対してだけの議論にしかなっていないようで残念だなというのが正直なところです。



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