労働者の権利



とある経営者の人が、政府が労働者の勤務時間に制約を設けることは労働者の稼ぐ権利を奪っているというような意見を発信しました。

 

たたかれることは承知の上での発信とのことなのですが、なかなか面白い意見だなと思います。

 

なぜならば、確かに、お金をもっと稼ぎたいから働きたいというのは労働者からも出る可能性はある意見でしょうし、それを政府が縛るなというのは分からなくはない意見ではあります。

 

人によっては毎日20時間働いてお金を稼ぎたいという人もいるでしょう。



大事な視点


 

ただし、ではなぜそのような縛りのルールを政府が作ったのか、ということに立ち戻ると、それはそういうルールがないと、労働者を酷使、搾取する経営者がいたから、ということになるのではないでしょうか。

 

労働者がたくさん働いてお金を稼ぐことはけしからんからルールで縛ってしまえ、ということではなくて、むしろ労働者を守るためにルールをつくったのであって、その背景にあるのは労働者のことを考えない経営者がいたから、あるいは今もいるからということではないでしょうか。

 

確かに経営者の人からすれば、労働者がもっと働いて利益を出してくれれば、その分潤うわけです。

 

8時間で40のコストで80の利益を生んでくれる労働者が、同じ調子で12時間働いてくれれば60のコストで120の利益を生んでくれるわけで、そうすれば労働者も経営者も追加の利益を得られるわけでWin-Winです。

 

でも実際には、経営者は60のコストを負担しようとせずに、経営者の取り分を多くしてしまう、あるいは、経営者が労働者に長時間労働を強要してしまう、そういうことが繰り返された歴史があった結果として、ルールが出来上がってきたということはあると思います。

 

経営者の方が立場的には労働者よりも強いはずですから、弱い労働者を守るためにルールを定めたということがあるのではないかと思います。

 

ですので、今回の場合は、労働者の権利を奪っているという論調ではありつつも、内実は経営者の権利に制限をかけているから気に食わないと主張していると受け取られかねないだろうなと思います。




ルールに異議を唱えるのはいい


 


もちろん、ルールはあくまでもある環境下である状況に対処するために作られたものですから、時代や状況によってはルールを変えていくということは必要なことだと思います。

 

ですので、政府が定めているルールはおかしいから変えてほしいという主張をすること自体は問題なく、議論が必要であれば議論をすればいいと思います。

 

前例がないから認められないとか、慣習上こうだからそれを守るんだという姿勢だけでは閉塞感しか生まれませんから。

 

そうしている方が楽かもしれないですけれどもね。

 

ただその種の議論をする際には、ではそもそもなぜそのようなルールが定められたのか、目的は何だったのか、そして今そのルールを変える必要があるのはどういう理由からなのか、ということを踏まえた上で議論をしないと、ただ勝手な意見を言っているだけの変なケンカ腰の不毛な言い合いで終わってしまう恐れがあります。

 

誰しもが常に正しい意見を主張できるわけではありませんし、自分が間違っていれば考えの修正をすればいいわけですし、変なことを主張したからその人の人格が全てダメ、みたいな論調になるのはおかしいと思いますので、なぜその経営者はそういう発言をしたのか、その真意はなんなのかまで含めて議論すればいいのにと思います。

 

その経営者の人はがむしゃらに働いてきたと思いますし、自分の周りにいる人にもそれを求めてきているでしょうし、それらの努力が報われての今があると思いますので、自分の体験からそれが普通だと思っているのかもしれません。

 

もしかしたら、全員が全員そうではないのですよ、ということを議論しないといけないかもしれません。

 

労働者とひとくくりにはしても、いろいろな意見はあるでしょうし、多数意見を正しいとすればいいというのも危険な考えだと思いますが、少数意見を常に尊重するというのも難しいことです。

 

最大多数の最大幸福ではないですが、社会全体を考えたときに、どうすれば一番おさまりが良いのかが、言い合いではなくて議論できればよいなと思います。

 

ちなみに私個人としては、労働時間に制限はかけてほしいと思います。

 

労働するために生きているわけではありませんので。

 

もちろん、楽しい仕事であれば労働時間を気にせずに働くことは個人的にもあります。

 

ただそんな仕事ばかりでもありませんからね。

 

 

 


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